体力をつける方法を完全解説|運動・栄養・生活習慣で体力を底上げする

「体力をつけたい」と思ったとき、多くの人は「運動しなきゃ」「筋トレかな」と考えます。
ただ実際には、運動を始めても疲れて終わったり、数週間で続かなくなったりする人がほとんどです。それは意志が弱いからではありません。体力の正体を誤解したまま取り組んでいることが原因です。
この記事では、医学・スポーツ科学の基本に基づきながら、体力をつける方法、体力をつけるために本当に必要なことを、順を追って解説します。
体力をつけるために必要な3つの柱
運動・栄養・生活習慣の3つが体力をつける
体力をつけたいと考えたとき、多くの人はまず「運動」を思い浮かべます。確かに運動は体力づくりの中心ですが、それだけでは体力は伸びません。
体力は、運動でつくり、栄養で支え、生活習慣で守るものです。この3つはそれぞれ役割が異なり、どれか一つが欠けると、体力は思うようにつける事ができません。
運動|体力を「直接つくる」役割
運動は、体力を高めるためにカラダに刺激を与えるものとも言えます。体は使われた分だけ「強くなろう」と反応します。ただし、運動といっても役割は一つではありません。運動にも3つ「筋トレ」「有酸素」「ストレッチ」と分ける事ができます。それぞれについて書いていきます。
まず筋トレは、体力の土台である「筋力」をつけます。筋力がつくことで、日常動作の負担が減り、疲れにくい体になります。体力がないと感じる人の多くは、スタミナ不足ではなく、筋力不足が原因です。
次に有酸素運動。これは体力を「長く使える状態」にするための運動です。心肺機能が高まることで、同じ動作をしても息が上がりにくくなり、動き続ける余裕が生まれます。
そしてストレッチなどの柔軟性。柔軟性が低いと血流が悪くなり、疲労が溜まりやすくなります。ストレッチは体力づくりの補助ではなく、疲れを残さず回復させるための重要な運動です。
この3つは、筋トレ=土台、有酸素=持続力、ストレッチ=回復力。という役割を持っています。
栄養|体力を「支える材料」の役割
運動で体に刺激を入れても、その材料がなければ体は変わりません。
栄養の役割は、体をつくり、動かし、回復させることです。たんぱく質は筋肉や組織の材料になり、炭水化物は体を動かすためのエネルギー源になります。脂質もホルモンや細胞膜の材料として欠かせません。これらは「三大栄養素」と呼ばれますが、さらにビタミンやミネラルが不足すると、代謝や回復がスムーズに進まなくなります。
また、カロリーが足りない状態が続くと、体は省エネモードに入り、体力を上げようとしなくなります。
体力をつけたい人ほど、極端な食事制限ではなく、必要な栄養とエネルギーを安定して摂ることが重要です。
生活習慣|体力を「守り、回復させる」役割
運動と栄養がそろっていても、生活習慣が乱れていると体力は伸びません。特に重要なのが睡眠です。
筋肉の修復、疲労回復、自律神経の調整は、ほとんどが睡眠中に行われます。睡眠が不足すると、体は回復しきれず、
体力は積み上がる前に削られていきます。
また、過度な飲酒や喫煙は、回復を妨げ、体力低下を加速させる要因になります。
体力づくりは、「どれだけ頑張れるか」ではなく、どれだけ回復できるかが結果を左右します。
3つの柱は「同時に少しずつ」が正解
体力をつけるために、運動・栄養・生活習慣を完璧に整える必要はありません。大切なのは、この3つを同時に、少しずつ整えていくこと。運動だけ、食事だけ、睡眠だけに偏ると、体力づくりは必ずどこかで止まります。
体力は、積み重ねがそのまま結果になります。だからこそ、3つの柱をバランスよく意識することが、最も確実で、遠回りのない方法になります。
「動ける力」と「回復できる力」の両立
体力という言葉はよく使われますが、その意味を正しく説明できる人は多くありません。多くの場合、「体力=スタミナ」「体力=長く動けること」と捉えられがちです。しかし実際の体力とは、「体を動かすことができる力」+「その疲れを回復させる力」この2つがそろっている状態です。どれだけ動けても、回復できなければ体力は落ちます。逆に、回復力があっても動かなければ体力は伸びません。体力とは「今どれだけ頑張れるか」ではなく、日常を無理なく回し続けられる余裕だと考えると分かりやすいでしょう。
体力をつける方法1:筋トレは体力の「土台」を作る
なぜ筋トレが最初に必要なのか
体力をつけたいと考えたとき、多くの人は「まず有酸素運動から」と考えがちです。確かに有酸素運動は体力づくりに欠かせません。しかし、体力を長期的に、安定して高めていくためには、筋トレが土台になります。
その理由はシンプルです。筋力が不足していると、他の体力要素が十分に機能しにくくなるからです。
筋力がないと、有酸素運動が続かない
有酸素運動は心肺機能を高め、疲れにくい体をつくるための運動です。ただし、実際に体を動かしているのは心臓や肺だけではありません。歩く、走る、登るといった動作は、すべて脚や体幹の筋肉によって支えられています。
筋力が不足している状態では、「脚が先に疲れる」「フォームが崩れる」「関節に負担がかかる」といったことが起きやすくなります。その結果、「息はそこまで苦しくないのに、脚がつらくて続かない」という状態になります。これは心肺機能の問題ではなく、筋力が足りないために有酸素運動を支えきれていない状態です。つまり、筋力は有酸素運動を「成立させる前提条件」だと言えます。
筋力がないと、ストレッチの効果も出にくい
ストレッチは、血流を良くし、疲労回復やケガ予防に役立ちます。ただし、筋力が極端に不足している状態では、ストレッチの効果も限定的になります。理由は、筋肉が体を支えられていない状態では、姿勢が崩れ、ストレッチをしても「伸ばした状態を保てない」ためです。また、筋力がない状態では、関節を安定させる力が弱く、無理なストレッチがかえって負担になることもあります。この点からも、筋トレは柔軟性を高めるための土台とも言えます。
筋トレで最も大切な2つのこと
正しいやり方と継続
筋トレというと、「きつい」「追い込む」というイメージを持たれがちですが、体力づくりのための筋トレで最も大切なのは、別の2点です。一つ目は、正しいやり方。フォームが崩れたまま行う筋トレは、効率が悪いだけでなく、ケガのリスクを高めます。
二つ目は、継続。体力は一度のトレーニングで身につくものではありません。無理な負荷をかけるよりも、「安全に続けられる強度」で積み重ねる方が、結果的に体力は伸びます。
体力づくりにおける筋トレは、「追い込むため」ではなく、体を強く保つための習慣と考えるのが適切です。
下半身の筋肉が特に重要な理由
体力づくりにおいて、下半身の筋肉は特に重要です。下半身には、体の中でも大きな筋肉が集まっています。太ももやお尻の筋肉は、「歩く」「立つ」「座る」「階段を上る」といった、日常動作の中心を担っています。ここが弱いと、日常生活そのものが体力を消耗する動作になります。
逆に下半身の筋力がつくと、同じ生活をしていても「疲れにくい」と感じるようになります。これは、体力がついたという感覚を最も実感しやすい変化の一つです。
アウターマッスルとインナーマッスル
両方を使える体が「体力のある体」
筋トレで鍛える筋肉は、大きく二つに分けられます。アウターマッスルは、体を大きく動かす筋肉です。太ももやお尻、背中などがこれにあたり、力を発揮する役割を持っています。
一方、インナーマッスルは、姿勢や体の安定を支える筋肉です。腹部や背骨の周囲にあり、動作の「土台」や「軸」を作ります。
アウターだけ鍛えると、力は出ますが疲れやすくなります。インナーだけでは、安定はしますが動きが弱くなります。両方がバランスよく働くことで、無駄な力を使わずに動ける「ケガをしにくい」「長時間動いても疲れにくい」という、体力の高い状態になります。
筋トレは「体力づくりの入り口」
筋トレは体力づくりのすべてではありません。しかし「有酸素運動を続けるため」「柔軟性を高めるため」「日常生活をラクにするため」その入り口として最も重要な役割を担っています。
体力をつけたいなら、まずは「筋力を底上げする」という視点を持つこと。それが、遠回りのようで最も効率的な体力づくりにつながります。
体力をつける方法2:有酸素運動と柔軟性が体力を「長持ち」させる理由
体力を「長く・安定して」使える状態をつくる
筋トレが体力の土台をつくる運動だとすると、有酸素運動と柔軟性は、体力を長く使い続けるための調整役です。
どれだけ筋力があっても、すぐに息が切れたり、疲れが抜けなかったりすれば、体力があるとは言えません。体力を「実用的なもの」にするために、有酸素運動と柔軟性は欠かせない要素になります。
有酸素運動の効果
なぜ体力づくりに必要なのか
有酸素運動は、主に心肺機能を高める運動です。心肺機能とは、酸素を取り込み、全身に届け、エネルギーとして使う能力のこと。この能力が高まると、「同じ動作でも息が上がりにくくなる」「疲れを感じるまでの時間が延びる」「回復が早くなる」といった変化が起きます。つまり、有酸素運動は「体力を長く使える状態」をつくるための運動です。
有酸素運動の具体的な内容と選び方
体力づくりに使いやすい有酸素運動には、次のようなものがあります。
「ウォーキング」「軽いランニング」「ハイキング」「自転車」「水泳」
重要なのは、種目そのものより強度です。
適切な強度の目安
体力づくりに適した有酸素運動の強度は、「少し息が上がるが、会話はできる程度」このレベルが目安です。これは一般に「中強度」と呼ばれる範囲で、心肺機能を高めつつ、疲労を溜めすぎない強度です。息が切れて会話ができないほどの強度は、短時間なら問題ありませんが、体力づくりとしてはオーバーワークになりやすくなります。
時間・頻度・期間の目安
体力を高める目的であれば、
・時間:20〜30分
・頻度:週2〜3回
・期間:4〜8週間以上
これが一つの目安になります。最初から毎日行う必要はありません。体が慣れる前に頻度を上げすぎると、疲労が抜けず逆効果になることもあります。
筋トレと有酸素運動は「併用」が前提
有酸素運動は体力づくりに有効ですが、有酸素運動だけに偏るのはおすすめできません。有酸素運動はエネルギー消費が高く、条件によっては筋肉もエネルギー源として使われやすくなります。実際、長距離ランナーの体型を見ると、
筋肉量が少なく、細身であることが多いのは、有酸素運動に特化した結果です。体力をつけたい人にとって重要なのは、「筋肉を減らさず、使える体力を増やすこと」。そのため、「筋トレで筋力を保つ・高める」「有酸素運動で心肺機能を高める」この併用が、最も効率的な体力づくりになります。
ストレッチの効果と重要性
体力を落とさないための「守りの運動」
ストレッチは軽視されがちですが、体力づくりにおいて非常に重要な役割を持っています。ストレッチの主な効果は、「血流の改善」「筋肉の緊張を和らげる」「疲労回復の促進」です。血流が良くなることで、疲労物質が流れやすくなり、回復が早まります。
柔軟性が低いと起きやすい問題
体が硬い状態が続くと、「関節に負担がかかる」「動作がぎこちなくなる」「ケガのリスクが高まる」という問題が起きやすくなります。そして一度ケガをすると、運動ができない→ 体力が落ちる→ 再開がつらくなる、という悪循環に入りやすくなります。体力づくりで最も避けたいのは、「ケガによって完全に止まってしまうこと」。
ストレッチは、体力を高めるためというより、体力を落とさないための保険と考えると分かりやすいでしょう。
有酸素運動と柔軟性は「調整役」
有酸素運動とストレッチは、筋トレのように分かりやすく筋肉を増やす運動ではありません。しかし、「疲れにくくする」「回復を早める」「ケガを防ぐ」という点で、体力を長期的に支える重要な役割を担っています。筋トレで土台をつくり、有酸素運動で持続力を高め、ストレッチで回復と安全性を確保する。この組み合わせが、体力を「積み上げていける状態」をつくります。
体力をつける方法3:栄養。体力は「食べたもので」作られる
体力づくりは、食事の考え方で8割決まる
体力をつけたいという話になると、運動ばかりに注目されがちですが、実際には食事が体力の土台を大きく左右します。どれだけ運動をしても、体を作る材料や、動くためのエネルギーが足りなければ、体力は伸びません。
栄養の役割はシンプルで、「体を作る」「体を動かす」「体を回復させる」この3つを支えることです。
三大栄養素とは?
体力づくりの「基本中の基本」
体力づくりでまず押さえるべきなのが、三大栄養素です。
たんぱく質
たんぱく質は、筋肉・内臓・皮膚など、体のほぼすべての材料になります。筋トレや運動をしても、たんぱく質が不足していると、筋肉は修復されず、体力は向上しません。代表的な食材としては、「肉類(鶏肉・牛肉・豚肉)」「魚」「卵」「大豆製品」があります。
炭水化物
炭水化物は、体を動かすための最優先エネルギー源です。炭水化物が不足すると、「すぐ疲れる」「集中力が落ちる」「運動の質が下がる」といった状態になりやすくなります。ごはん、パン、麺類、いも類などが代表的です。
脂質
脂質は敬遠されがちですが、体力づくりにおいて欠かせない栄養素です。脂質は、「ホルモンの材料」「細胞膜の構成」「長時間のエネルギー供給」といった役割を担っています。魚の脂、ナッツ類、オリーブオイルなど、質の良い脂質を適量摂ることが大切です。
五大栄養素とは?
体力を「安定」させるために必要な要素
三大栄養素に加えて重要なのが、ビタミンとミネラルです。
ビタミン
ビタミンは、エネルギーを作ったり、筋肉を修復したりする過程を助ける役割があります。不足すると、「疲れが抜けにくい」「体調を崩しやすい」といった影響が出やすくなります。野菜、果物、海藻などが主な供給源です。
ミネラル
ミネラルは、「筋肉の収縮」「神経伝達」「水分バランスの調整」に関わります。不足すると、足がつりやすくなったり、疲労感が強くなったりします。海藻類、乳製品、豆類などが代表的です。
エネルギーとは何か?
体力を「動かす燃料」の正体
体力を支えるエネルギー源は、主に糖質と脂質です。糖質は、すぐに使えるエネルギーとして、運動や日常動作の中心になります。脂質は、長時間使えるエネルギーとして、糖質が少ないときの補助になります。どちらか一方に偏ると、「動き出しが悪くなる」「持久力が落ちる」といった問題が起きやすくなります。
栄養補給とは何をすることか?
栄養補給とは、単に「たくさん食べること」ではありません。体力づくりにおける栄養補給とは、「必要な栄養素を」「必要なタイミングで」「必要な量だけ」安定して摂ることです。
忙しい人ほど、食事を抜いたり、簡単なもので済ませがちですが、それが体力低下の原因になることもあります。
カロリーとは?
消費と摂取のバランスが体力を決める
カロリーとは、体を動かすためのエネルギー量の指標です。体力をつけたい場合、「摂取カロリーが少なすぎる」「消費カロリーが多すぎる」この状態が続くと、体は省エネモードに入り、体力を上げようとしなくなります。
逆に、摂りすぎても体脂肪が増え、動きにくさにつながります。体力づくりでは、消費と摂取のバランスが何より重要です。
栄養は「毎日の積み重ね」
体力は、一日の食事で決まるものではありません。数週間、数か月という単位で、何を食べ続けているかが体力を左右します。運動と同じく、栄養も「完璧」より「安定」が大切です。
体力をつけたいなら、特別な食事よりも、無理なく続けられる食習慣を意識しましょう。
体力をつける方法4:生活習慣が体力を左右する
体力は「回復できるかどうか」で決まる
体力づくりというと、運動や食事に意識が向きがちですが、それらと同じくらい重要なのが生活習慣です。特に睡眠は、体力を「増やす」以前に、体力を削らないための土台になります。どれだけ運動をしても、生活習慣が乱れていれば、体力は積み上がる前に失われていきます。
睡眠の役割
体力を回復させ、伸ばす時間
睡眠は、単に体を休める時間ではありません。体力づくりにおいては、回復と再構築が行われる最重要の時間です。睡眠中、体の中では次のようなことが起きています。「筋肉の修復と再生」「疲労物質の処理」「自律神経の調整」「ホルモン分泌の最適化」これらが正常に行われることで、「昨日より少し強い体」に更新されていきます。
逆に睡眠が不足すると、「疲れが翌日まで残る」「筋肉が回復しきらない」「集中力や判断力が落ちる」といった状態になり、体力は伸びるどころか下がっていきます。
体力をつけたい人ほど、「運動時間」よりも睡眠の質と量を優先して考える必要があります。
睡眠が乱れると体力に何が起きるのか
睡眠不足が続くと、体は慢性的な回復不足の状態に入ります。この状態では、「運動の効果が出にくくなる」「疲労が抜けず、運動を続けられなくなる」「体力低下を年齢のせい」と誤解しやすくなるといった悪循環が起こります。特に、
「寝ているはずなのに疲れが取れない」場合は、睡眠の質が低下している可能性が高い。体力づくりでは、睡眠時間だけでなく、回復できているかを見ることが重要です。
体力回復を妨げる生活習慣
知らないうちに体力を削っている要因
体力づくりを妨げる生活習慣は、意外と身近なところにあります。まず、過度な飲酒。アルコールは入眠を助けるように感じますが、実際には睡眠の質を下げ、深い睡眠を妨げます。その結果、筋肉や神経の回復が不十分になり、体力低下につながります。
次に、喫煙。ニコチンは血管を収縮させ、血流を悪化させます。血流が悪いと、酸素や栄養が体に届きにくくなり、疲労回復が遅れます。
さらに、夜遅い食事や不規則な生活リズムも問題です。体内時計が乱れると、睡眠の質が低下し、回復の効率が落ちます。
「体力をつける生活習慣」とは何か
体力をつけるための生活習慣とは、特別なことをすることではありません。「毎日ほぼ同じ時間に寝起きする」「寝る直前までスマホを見続けない」「運動した日はしっかり休む」「飲酒や喫煙の量を見直す」こうした基本的なことを守るだけでも、体力の回復力は大きく変わります。
体力づくりは、「頑張る量」を増やすことではなく、削られない状態を作ることから始まります。
生活習慣は「体力のブレーキ」にも「アクセル」にもなる
生活習慣は、体力づくりにおいてブレーキにもアクセルにもなります。運動と栄養がそろっていても、睡眠が乱れていればブレーキがかかります。逆に、睡眠と生活リズムが整っていれば、少ない運動量でも体力は伸びやすくなります。
体力をつけたいなら、まずは生活習慣を見直すこと。それが、最も確実で、遠回りのない方法です。
体力をつける方法5:体力づくりで一番大切なのは「続けること」
正しい方法よりも、続く仕組みを先につくる
体力づくりで失敗する理由の多くは、やり方が間違っているからではありません。続かなかったからです。どれだけ正しいトレーニング方法でも、数回やって終わってしまえば体力はつきません。体力は、才能や一度の頑張りではなく、時間をかけて積み上がるものだからです。だからこそ、体力づくりでは「何をやるか」よりも、どうやったら続くかを先に考える必要があります。
継続の基本は「考えなくていい状態」を作ること
人は忙しくなったり、疲れたりすると、判断や意思決定を後回しにしがちです。「今日はやるか、やらないか」を毎回考えていると、ほぼ確実にやらなくなります。そこで有効なのが、IF-THENルールです。
IF-THENルール
行動を癖に変える方法
IF-THENとは、「○○したら、△△する」という形で、行動をセットにする方法です。たとえば、「帰宅したら、スクワットを10回する」「朝起きたら、ストレッチを1分する」「風呂に入ったら、体を軽く動かす」こうしておくと、「やるかどうか」を考える必要がなくなります。体力づくりを習慣にするうえで、意思の力を使わないことは非常に重要です。
スモールステップ
「できること」から始める
多くの人が体力づくりで挫折する理由は、最初から頑張りすぎることです。「毎日30分運動しよう」「週5回トレーニングしよう」こうした目標は、モチベーションが高い最初の数日しか続きません。
体力づくりでは、「少し物足りない」「これなら毎日できそう」と感じるレベルから始めるのが正解です。「今日はできなかった」と思わない設定にすることが、結果的に長く続く秘訣になります。
6週間の壁
多くの人がやめるタイミングを知っておく
体力づくりで多くの人が離脱するのが、3〜6週間目です。最初の数週間は、「やる気」と「新鮮さ」で続きます。しかし1ヶ月前後になると、「まだ大きな変化が見えない」「忙しさが戻ってくる」「優先順位が下がる」といった理由で、やめてしまいがちです。ここで重要なのは、「この時期はやめたくなるものだ」とあらかじめ知っておくことです。
6週間を一つの区切りとして、「ここまでは様子を見る」と決めておくと、離脱しにくくなります。
体の変化は最低3ヶ月、習慣は6ヶ月
体力の変化は、数日や1週間で分かるものではありません。一般的に、
・体の変化を感じ始めるまで:およそ3ヶ月
・習慣として定着するまで:およそ6ヶ月
このくらいの時間がかかります。最初の1〜2ヶ月で「変わっていない」と感じるのは自然なことです。体力づくりでは、変化が見えない時期をどう越えるかが勝負になります。
やめるきっかけを減らす
継続の敵は「完全に止まること」
体力づくりが止まる一番の原因は、ケガや体調不良、忙しさなどで完全に休んでしまうことです。一度完全に止まると、再開のハードルは一気に上がります。だからこそ、「できない日は軽く動くだけ」「ストレッチだけでもOK」「回数や時間を減らしても続ける」といった「逃げ道」を用意しておくことが大切です。体力づくりは、100点を取り続ける必要はありません。0点の日を作らないことが、最大のコツです。
続いた先にしか、体力はない
体力は、頑張った日ではなく、続いた期間に比例して伸びます。だから体力づくりでは、「正しさより続くこと」「完璧より安定」「気合より仕組み」を優先してください。続く仕組みさえ作れれば、体力はあとから必ずついてきます。
体力をつける方法6:パーソナルトレーニングという選択肢
「ダイエットやマッチョ」のためだけではない
パーソナルトレーニングと聞くと、「痩せたい人」や「筋肉を大きくしたい人」が通うもの、そんなイメージを持っている人も多いかもしれません。ですが、それは少し古い印象です。現在のパーソナルトレーニングは、体力をつけ、日常をラクにするためのサポートとして使われるケースが増えています。言い換えるなら、パーソナルトレーニングとは
運動・栄養・生活習慣をまとめて整える「カラダのコンシェルジュ」のような存在です。
パーソナルトレーニングで何をサポートしてくれるのか
パーソナルトレーニングの役割は、単に「きつい運動をさせること」ではありません。まず運動面では、正しいやり方を身につけることが中心になります。フォームが崩れたままの筋トレは、効率が悪いだけでなく、ケガの原因にもなります。トレーナーが見ていることで、無理のない負荷で、効果の出る動きに修正できます。
次に栄養。多くの人は「何を食べればいいか」が分からず、極端な制限や自己流に走りがちです。パーソナルトレーニングでは、その人の生活リズムや体の状態に合った食事の考え方を一緒に探します。完璧な食事を目指すのではなく、
続けられる現実的な方法を見つけることが目的です。
さらに生活習慣。睡眠や仕事の忙しさ、生活リズムは人それぞれ違います。そこを無視した体力づくりは、ほぼ続きません。パーソナルトレーニングでは、運動だけでなく、生活全体を前提にしたアドバイスが行われます。
一番の価値は「継続のサポート」
パーソナルトレーニングの最大の価値は、実はトレーニング内容そのものではありません。それは、継続を支えてくれることです。多くの人が体力づくりをやめてしまう理由は、「忙しくなった」「少し間が空いた」「モチベーションが下がった」といった、ごく普通の出来事です。一度止まると、「また今度でいいか」と先延ばしになり、気づけば何ヶ月、何年もやらなくなってしまいます。トレーナーがいることで、「見られているという意識が働く」「サボりにくくなる」「止まりそうなタイミングで声をかけてもらえる」こうした環境が生まれます。「最近忙しそうですね」「そろそろ軽く再開してみませんか?」この一言があるかどうかで、体力づくりが“完全に止まる”かどうかが分かれます。
パーソナルトレーニングは「うまく使うとコスパがいい」
パーソナルトレーニングは、一見すると費用が高く感じられるかもしれません。しかし目的を「一生通い続けること」ではなく、習慣を身につけるための期間限定サポートと考えると、見方が変わります。正しいやり方を覚え、体力づくりが生活の一部になれば、その後は自力でも続けられるようになります。そう考えると、試行錯誤を何年も繰り返すより、短期間で基礎を身につける方が、結果的に時間も労力も節約できます。
オンラインパーソナルという現実的な選択
最近では、自宅で受けられるオンラインパーソナルトレーニングも一般的になりました。オンラインのメリットは、「移動時間が不要」「好きな時間に受けられる」「生活に組み込みやすい」という点です。特に忙しい人ほど、「ジムに行く」というハードルが原因で続かなくなります。オンラインであれば、そのハードルを大きく下げることができます。
パーソナルトレーニングは「選択肢の一つ」
パーソナルトレーニングは、体力づくりの唯一の正解ではありません。ですが、何をやればいいか分からない「一人だと続かない」「忙しくて後回しになりやすい」こうした悩みがある人にとっては、非常に現実的で効果的な選択肢です。体力づくりで大切なのは、「完璧な方法」よりも、自分に合った続け方を見つけること。
パーソナルトレーニングは、そのためのサポートとして、上手に使う価値があります。


